福山市内歴史的建造物 国宝化プロジェクトの取組

2026.01.20

福山城伏見櫓、筋鉄御門、吉備津神社本殿、沼名前神社能舞台の国宝指定をめざして

【概要】

 広島県福山市では、市内文化財建造物4棟(福山城伏見櫓、福山城筋鉄御門、吉備津神社本殿、沼名前神社能舞台)の国宝化をめざす取り組みを行っています。これらの建造物の国宝化に向けた調査や、それぞれの歴史的価値や魅力について、知ってもらい、福山市の進めている国宝化プロジェクトへの御理解と御賛同をお願いします。

 

【福山城伏見櫓・筋鉄御門】

 福山城伏見櫓は、京都伏見に所在した伏見城からの移築建造物であることが「結城水野家文書」に明記されています。また、櫓内の2階の梁部材に伏見城から移築をされた根拠を示す銘記が残されており、伏見城からの移築建造物であることが明らかな我が国唯一の建造物です。

 京都伏見城は、秀吉が築き、家康が受け継いだ近世初頭の武家政権の本拠地となった城郭です。その建造物は、伏見城の廃城後に、淀城や二条城に移されますが、福山城にも重要な建造物が移築されています。これらは、「西国鎮衛」の城として築かれた福山城の重要性に基づいて、徳川家から特別に賜ったものです。

 

 福山城筋鉄御門は、福山城本丸の正門で、伏見櫓とともに桝形を構成し、本丸最後の防御を司っています。「結城水野家文書」には、伏見城からの移築のうち、「鉄門」という表記があり、本門に当たる可能性があります。現在の筋鉄御門の門扉、本柱、冠木には、筋鉄(板状の鉄板)が打ち付けられており、このことから筋鉄御門と呼ばれています。この門にも、古い転用材とみられる部材が使用されており、伏見櫓とともに、伏見城からの移築を示しているものと考えられます。

 

 (調査・研究)

 福山市では、伏見櫓・筋鉄御門を国民の宝としてより知ってもらいたいとの思いを込め、2018年度(平成30年度)より築城400年記念事業の一環として、両建造物の学術調査を進めてきました。

 赤外線調査では、部材に記された墨書銘を260点以上発見しました。これらの墨書銘は、番付として使用されたものが多く、伏見櫓の移築に係る痕跡を残しているものとして、分析を進めています。

 また、柱や梁の表面にみられる製材の跡である加工痕調査により、製材に使用される道具が異なることから見出される違いにより部材の年代差の分析を行っています。

 

【吉備津神社本殿】

 

 吉備津神社本殿は、福山市新市町に位置する備後一宮吉備津神社に所在する国の重要文化財です。福山藩初代藩主水野勝成によって再建され、文献史料や墨書銘などから慶安元年(1648年)の建立と伝えられています。

 本殿は、本殿のみの建築としては、国内最大級の規模を有しており、本殿内部の形式や、入母屋造本殿の早例として、建築史上においても貴重な文化財です。

 2019年度(令和元年度)から2021年度(令和3年度)にかけて行われた吉備津神社本殿の保存修理事業では、保存修理に合わせて各種調査(年輪年代による用材の伐採年代、亀腹出土炭化物の炭素年代測定など)を行いました。

 その結果、建造された年代が、慶安元年(1648年)であることを示す墨書銘の他、部材には、「備後一宮御用木」の印付けが付され、大坂の大工による設計・製材が行われた用材を備後に輸送し、建立を行ったことを示す墨書銘が発見されました。

【沼名前神社能舞台】

 

 

 沼名前神社能舞台は福山市鞆町に位置する沼名前神社に所在する国の重要文化財です。豊臣秀吉が伏見城へ設けた組立式能舞台といわれ、徳川秀忠から水野勝成に下賜され、万治年間(1658年~1660年)に福山藩三代藩主水野勝貞により沼名前神社へ寄進したとされています。

 構造として、仕口を全て枘差し、込栓止めとし、屋根は垂木・木舞・裏板を以って作ったパネル式になっており、移動させて組み立てることが可能な、国内に残る最古の組立式能舞台という珍しい構造です。

 組立式構造の能舞台として最古であるとともに、17世紀以前の能舞台は全国で4棟が現存するのみであり、貴重な文化財です。

【期成同盟会の取組】

 

 この4棟の歴史的建造物の国宝指定をめざし、2024年(令和6年)11月3日に、「福山市内歴史的建造物国宝指定期成同盟会」が結成されました。同盟会には、福山藩元藩主である水野家、阿部家の御当主を筆頭に、福山市長、福山市議会議長、福山商工会議所会頭、城郭専門家、文化財行政専門家、文化財所有者の皆様に参画いただきました。

 これまでに、シンポジウムの開催や、関係機関、広島県選出国会議員など、賛同の輪を広げる活動を行っています。

【賛同していただける方】

 福山市では、国宝化の取組に御賛同いただける方を募集しています。

 賛同いただける方はこちら。「賛同する」をチェックし、応援メッセージの御記入をお願いします。